若かりし頃、私はとある広告代理店のデザイン畑に勤めていました。大きな会社ではなかったので制作に回す予算は常に緊縮財政。
どのくらいの緊縮ぷりだったかというと
私「部長!指示書に『一富士二鷹三茄子の写真を入れる』って書いてありますが、鷹の写真がありません!」
部長「無いか!!じゃ作れ!!」
私「鷹をかよ!!素材買ってよおお!!!!」
みたいなやりとりが日常茶飯事。
その時はしょうがないので全ての写真をシルエットにして(鷹はハトのアウトラインを使用)乗り切ったというね。
とまぁ、めちゃくちゃではありますが
ここで鍛えられた「無ければ作る」「そもそもの前提を見直す」という精神、これがなかなかに役に立つもので。
端的に言うと固定観念からの脱却です。
美白化粧水は色白になりたい人だけじゃなくシミや色むらの改善に効果的だし、石鹸落ちコスメはオイルクレンジングする人にとっても落としやすく肌に優しいコスメとしてチョイスする価値がある。これはこういうものという思い込みにまず自分で気づく事が、いろんな選択肢の幅を広げる近道だと思う。
— 粉太郎 (@konataro_cosme) June 10, 2021
これはスキンケアに関しての話だけではなく、個人的に生活のすべての場面において立ち帰りたい原理原則です。
色白になりたい人しか美白化粧品を使っちゃいけないなんて誰が言った?
ミネラルコスメがほっこりさんご用達だなんて誰が言った?
鷹がないからってハトの素材使っちゃダメって誰が言った??それはダメだろ
さてさて。
なぜ今回こんなのらりくらりとした書き出しになったかというとですね・・・。
新しい化粧品との出会いがあったからなんですよね。
その名もカネボウ「DEW 白色オイル」。
「メイク落とし」「保湿乳液」「ハンドクリーム」など、薬局なら売り場が分かれて当然の分類たち。これらをすべて一本でまかなうというシロモノです。(ステマじゃありません)
実際使ってみて思いましたが、「メイク落とし」としても、「保湿乳液」としても、「ハンドクリーム」としても、効果としては正直心もとないです。単体で、ソレ専用に作られているものと比べるとひとつひとつの効果に満足はできません。
ただね、それが良いんです。
足りないくらいでいい。
我々は往々にして完璧を求めすぎます。
例えば帰宅して、お風呂に入るまでの3時間。
「めっちゃ乾燥してるし早くメイク落としたいけど、どうせあとでお風呂でしっかり落とすからつけっぱなしで良いや〜」ってなりませんか?
そこで白色ミルク。
(重ねて言いますがステマじゃありません)
帰宅後すぐにポンプをすこんって押して、さっとミルクで顔をぬぐっておくだけで多少なりとも肌に良いことをした実感が持てるなら、そこに充分な価値を感じませんか。
この3時間を放置するか、動くか。
長い目で見るとスキンケアとはその程度のことがキモなのだろうと私は信じています。
だったら普通の乳液でいいじゃんと思われるかもしれません。
いいと思います。
カウンターでタッチアップしてもらう時とか、乳液でメイク落としてもらったりしてましたよね。そして乳液はハンドクリームがわりにもなりますし、よく考えてみれば「マルチな仕事ぶり」に惹かれたからといって「DEW 白色オイル」でなければならないわけではないと思います。
つまるところ、私が感嘆したのはこの「ただの乳液(あえて言います。カネボウ関係者さんみてたらごめんなさい)」を、まさしく大陸横断のごとくジャンルをまたぎ売り出したカネボウさんの販売戦略です。
昨今の疲弊した世の中が求める「敷居の低さ」を、うまく捕まえた商品だと思います。
メイクを落とすならメイク落とし、手に塗るならハンドクリーム・・・
まさにそのような固定観念のブレイクスルーです。新しい。痺れる。
※上記でただの乳液と言いましたが、カネボウさんの長年のヒアルロン酸研究や、自社の一般的な乳液の2~3倍の油分を抱え込む乳化技術に基づきつくられた最先端の商品です。
コスメ業界も、スキンケア業界も。
これからもどんどん私たちの固定観念をカチ割り、目の中のウロコを剥ぎ取っていってほしいと思います。
そして自分自身も、立ち止まり考えることを厭わない発展的な消費者であろうと思います。